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技術とお金 [ビジネス]

技術の進歩は経済成長を維持するうえで主要な要因であり、過去50年の経済成長のうち半分をもたらしたとみられている(参考書籍「富の未来 上巻」)。全労働者に対する技術者の割合と照らし合わせて見ても、日本では技術者に正当な対価が与えられているとは言い難い。「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」の梅田望夫さんによると、日本でベンチャー企業が育たないのは、会社が傾いても優秀な技術者を中心に何とか持ちこたえるように頑張り、あまり会社を見捨てて自分達だけでやって行こうとはしないという点があるそうだ。まさに日本の企業には、「富の未来」で言う「生産消費経済」(金銭経済とは別の経済)が働いていると言える。そういった経済は数量化するのが難しく、評価の手法がまだ確立されていない。だからEVAだけで評価しようとすると、失敗するのであろう。

その点、シリコンバレーでは技術者が金持ちだ。当然、技術者になりたいと言うモチベーションも高い。その影響は小学校にまで及ぶ(参考記事「ハイテク小学校に全米から視察-パロアルト」)。パワーポイントを教えるのは、こちらでは大学教授でさえ企業受けして金をとってくる能力が高い人材が求められていることもあるようだ。日本の企業で肩身の狭い思いをした技術者がシリコンバレーに留学すると、かなりの確率でグーグルなどのような待遇や経営理念の良い会社に転職してしまうと言う。仮に企業が留学費を払っていて、転職した場合にそれを個人負担しなければならなくなったとしても、サインアップボーナスで3000万円とかもらえるらしいので、お釣りが来るどころの話じゃない。なので、転職を迷う理由が見つからないと言う。

日本の企業を辞め、シリコンバレーでベンチャーを立ち上げた方達とお話しする機会も多いが、たいがいこの道はお勧めできないとアドバイスを受ける。やはり傍から見るほど、そんなに甘いもんじゃないそうだ。その方達のベンチャー自体も、何度かの失敗の末に得た産物だったりする。

日本企業でも能力給が定着してきているが、やはり桁が違うところまでは来ていない。グローバル化が進む中、日本企業は知識社会でグーグルなどに対抗していけるのだろうか?一抹の不安を覚えるが、逆にお金がそれほど無くても幸せに暮らしていける社会を作り、社会貢献意欲で「生産消費経済」をまわすという手もある。しかし、個人としてのカネの価値が急速に意味を失ってくると言われている10億円を超える個人資産を(参考記事「虚をつかれ、感動したビル・ゲイツ「後半生」の選択」)、はたしてどこまで下げることが可能なのだろうか?

【今日の表現】
Google is a mathematical term meaning a number followed by a long string of zeros. グーグルというのは数学用語で、ゼロが延々と続く数字を意味します。
We have to create an insatiable desire to produce and consume. 我々は生産消費への貪欲さを生み出す必要に迫られている。


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