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文化の違い [番外編]

1990年代の「癒し」という言葉の火付け役としても有名な文化人類学者の上田紀行先生(東京工業大学の助教授で、 講演当時Stanford大学の客員研究員)が2005年の大ベストセラーとなった「生きる意味」に関連した特別講演を近所で行った。講演の中で、海外から東工大へ来ている学生にアンケートを取ったところ、日本の大学生についての感想で最も多かったのが、「授業中寝ているのが嫌だ」という意外な結果だったという話があった。日本的な感覚で考えると「誰にも迷惑かけてないからいいじゃん」ということになるが、留学生に言わせると、「日本でも有数の大学に来ていながらプライドはないのか?」ということらしい。日本の多くの学生は、自らが勉強したくて大学に行っているのではなく、世間に良く思われたいから要領良く単位取って卒業するだけのように移るのだろう。

上田先生によると、日本は「恥の文化」であり、子供の頃から「そんなことをすると、あのおばちゃんに怒られますよ。ほら、○○ちゃんのことにらんでいるでしょう」と言われて、常に「他者の目」を意識するように育てられていくとのこと。他者の目を気にするあまり、自分のアイデンティティを失ってしまい、日本の高度成長期が終わった今、それだけで他者に評価を受けることもなくなり、行き場を失っていまう人が増えてきているのが問題になっている。他の国は「罪の文化」である場合が多く、宗教などによって定義された絶対的な善悪を基準にして行動しているそうだ。そのせいか、アメリカでは周囲の目など気にせず、堂々と突飛な行動をする光景を良く目にする。こういった差は、日本が国際化していく中で和らいでいくのだろう。

しかし、常に世評に気を配る「恥の文化」には特筆すべき優れた点もある。サービスや物づくりで日本が飛び抜けて優秀なのは、総中流社会であることもさることながら、こういった文化的な背景が関係しているのではないだろうか?日本と同じようなサービスや製品を期待していると、アメリカでは我慢ならない思いをすることが多々起こる。(関連記事「ニッポンのサービス」)やはり、日本の良いところは守りつつ、海外の良いところを取り入れ、新しい文化を築いて行くことで、より魅力的な国になって行くのがあるべき姿であろう。

【今日の表現】
It's often said that the Japanese are all the same. 日本人は、みんな同じようで個性がないとよく言われる。
If you conform, you risk losing your individuality. 同調すると、個性が失われる恐れがある。
I think in general the service people in Japan are extremely helpful, and I find it amazing that in the department stores so many people are dedicated simply to making you feel welcome. 一般的にいって、日本のサービス業の人たちってものすごく親切だと思うし、それとすごいなと思うのは、デパートに行くと本当にたくさんの人たちが、とにかくこちらを歓待することだけを仕事にしているっていうこと。


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